太陽光発電で売電できなくなる?FIT制度終了後の対策方法を法人向けに解説!

日本では、太陽光などの再生可能エネルギー発電設備で発電した電気を、電力会社に買い取ってもらう仕組みがあります。
それが「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」です。
ただしFIT制度には適用期間があり、10kW未満は10年間、10kW以上は20年間と定められています。
そのため、FIT制度の適用期間が終了した後のことが気にかかり、導入の決断ができない企業も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、FIT制度終了後のおすすめの対策方法を紹介します。
正しい対策を取れば太陽光発電を有効活用できるため、FIT制度終了後が不安といった企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
また、太陽光発電のそもそもの仕組みやメリット、費用相場について知りたい方は下記記事も参考にしてみてください。
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FIT制度終了後は太陽光発電で売電できない?

FIT制度終了後の20年目以降に余剰電力を売電する場合、適用期間終了後は売電できないと認識している方もいますが、継続して売電できます。
また、FIT制度の適用期間に関しても家庭用の10年と混在するケースがあり、注意が必要です。
具体的には、2022年4月に開始されたFIP制度などを利用したり、売電先を変更するといった方法があります。
太陽光発電の売電の仕組みと現在の価格とこれまでの推移

FIT制度において電力会社が買い取る電力は、5つのいずれか(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電した電気です。
その際の固定価格の単価は、経済産業省が年度ごとに決定しています。

一般的に、住宅の屋根に載せるような10kW未満の発電設備は住宅用、ビルや工場に載せるような10kW以上の発電設備は産業用と言われます。
さらに詳しい売電の仕組みについて見てみましょう。
余剰買取と全量買取の違い
電気を売電する仕組みは、設備の容量によって異なります。
住宅用と50kW未満の産業用は、自家消費した後に余った電力が買取の対象になります。
これを余剰売電(余剰買取)と言います。
一方、50kW以上の産業用太陽光発電設備を設置した場合、発電した全部の電力を買い取ってもらえます。
これが全量売電(全量買取)です。
もちろん、自家消費した後の余剰電力を買い取ってもらう余剰売電を選ぶことも可能です。
わかりやすく表にすると以下のようになります。
太陽光発電設備の容量 | 10kW未満 | 10kW以上50kW未満 | 50kW以上 |
---|---|---|---|
売電方式 | 余剰売電 | 余剰売電 | 全量売電か余剰売電 |
固定買取期間 | 10年間 | 20年間 | 20年間 |
2024年度基準価格 | 16円/kW | 12円/kW(屋根設置) | 12円/kW(屋根設置) |

売電価格は上がる?現在の売電価格の推移
FIT制度によって電力を買い取る単価は、制度がスタートした2012年度が10kW以上で40円、10kW未満で42円でした。
これに対して2022年度以降の買取単価をまとめたのが以下の表です。
50kW以上(地上設置)(入札制度対象外) | 10kW以上50kW未満 | 50kW以上(屋根設置) | 10kW以上50kW未満(屋根設置) | 10kW未満 | |
2022年度 | 10円 | 11円 | 10円 | 11円 | 17円 |
2023年度(4月〜9月) | 9.5円 | 10円 | 9.5円 | 10円 | 16円 |
2023年度(10月〜3月) | 12円 | 12円 | |||
2024年度 | 9.2円 | 12円 | 12円 | ||
2025年度 | 8.9円 | 11.5円 | 11.5円 | 15円 |
制度がスタートした当時に比べて買取価格の単価は1/3〜1/4程度になっており、今後も下落が続く想定です。
それは、太陽光発電設備の設置費用が低下しているからです。
買取単価は、経済産業省内の「固定価格等算定委員会」がさまざまな状況を判断して案を提出します。
この際、太陽光発電設備の設置費用が目安とされます。
制度がスタートした当初よりも設置費用が安くなっているため、今後も売電単価は下がると見られているのです。
太陽光発電で売電するためには手続きが必要?申請方法も紹介

太陽光発電設備で発電した電気を売電するには手続きが必要です。
届出先は主に経済産業省、電力会社に対して行います。
また、法人事業税を申告する際は、事業規模に応じて課税方式が異なるなど注意点がありますので以下より詳しく紹介します。
経済産業省へ売電の手続き/事業計画認定申請をする
FIT制度を利用して売電するためには、経済産業省に対して事業計画認定申請を行います。
「事業計画策定ガイドライン」に沿って事業計画を立て、認定を受けた後に設置工事を開始することになります。
電子申請マイページに新規登録することで、認定申請ができます。
電力会社への手続き/系統連系(系統接続)申請をする
系統連系申請とは、発電設備で発電した電気を電力会社に送るために行う申請です。
通常、住宅やビルなどには電力会社から電気が送られていますが、売電する際は反対に電力会社に向けて電気を流す必要があります。
そのために行うのが系統連系申請で、接続契約とも呼ばれます。
申請方法は管轄の電力会社によって異なりますが、必要な書類を準備してウェブ申請もしくは郵送で行うのが一般的です。
都道府県税事務所への手続き/法人の事業税収入割の申告をする
FIT制度を利用して売電を開始した法人は、電気供給業に該当します。
必要に応じて、「法人設立届出書」や「異動届出書」などの提出を都道府県税事務所に対して行います。
また法人事業税が発生するため、確定申告が必要です。
法人事業税は、当該事業年度の収入金額から経費を引いた所得割が通常ですが、電気供給業の場合は収入金額を課税標準とする収入割が原則です。
ただし、資本金や出資金の額などによって課税方式が異なります。
地域ごとに提出する添付書類が異なるなど、やや複雑なことが多いため、管轄の税務署や顧問税理士などに相談するといいでしょう。
卒FIT後はどうする?おすすめの選択肢を紹介

FIT制度の適用期間が満了となるのは、産業用太陽光発電設備の場合は20年後です。
FIT制度は2012年度から開始されており、開始当初からFIT制度を利用して売電している企業は8年後の2032年度以降に適用期間が満了となります。
適用期間が満了になることを卒FITと言いますが、卒FIT後はどのようにするといいのか、おすすめの選択肢を紹介します。
引き続き売電を行う
FIT制度の適用期間が終了しても、電力会社に発電した電力を買い取ってもらう方法がいくつかあります。
その一つがFIP制度(Feed-in Premium、フィードインプレミアム)です。
発電設備で発電した電気を、「買取基準価格+プレミアム(補助金)」で買い取ってもらう仕組みです。
売電収入が上がると考えられますが、1カ月ごとに買取価格が変動するため、売電収入が安定しない可能性があります。
また、電力会社を変更して売電する方法もあります。
大手電力会社だけではなく、新電力と言われる電力小売業者に買い取ってもらうこともできます。
この場合も売電収入が上がる可能性がありますが、地域によっては電力会社の変更先が限定されるなどのデメリットもあります。
発電した電気を全て自家消費する
FIT制度では余剰電力を売電しますが、発電した電気を余らせずにすべて消費する自家消費型に転換する方法もあります。
電気料金が高騰する一方、買取価格が低下しているため、自家消費型の方がメリットは大きくなる可能性もあります。
また、自然災害の多い日本の企業にとってはBCP対策も欠かせません。
その点、蓄電池に電気をためておけば、災害時に停電になっても電気を使用できます。
災害における損失を抑えられるほか、地域住民に電気を供給するなどで地域社会への貢献にもなります。
ただし、蓄電池の導入には高額な費用が必要なケースもあります。その場合は、補助金などの支援事業が活用できるか検討しましょう。
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まとめ

また、蓄電池と接続すれば、より効率的に電気を使えるようになります。
産業用太陽光発電設備におけるFIT制度の適用期間は20年間なので、太陽光発電を導入する際は20年後を見据えて検討することが重要です。
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